研究活動

研究活動

2015年度 グループ2ユニットA 第1回国際ワークショップ

報告題目Engaged Buddhism, The US and Japan: Past, Present and Future
開催日時2016年3月11日(金)10:45~12:30
場所Jodo Shinshu Center, Conference Room (2nd floor), Berkeley, California
報告者Prof. Scott Mitchell, Institute of Buddhist Studies
Prof. Funie Hsu, San Jose State University and Board Member of the Buddhist Peace Fellowship
Prof. Aya Honda, Hyogo University
Prof. Mitsuya Dake, Ryukoku University
参加者21名

【研究会の概要】
 本研究会では,日本仏教とアメリカ仏教におけるエンゲージド・ブッディズムの歴史と現在,そして今後の展望について議論することを目的に開催された。そのために,アメリカ仏教のエンゲージド・ブッディズムの具体的な活動例として,サンフランシスコに本部を置き全米で活動を展開している,Buddhist Peace Fellowship(BPF)のメンバーであり,San Jose State University准教授でもあるDr. Funie Hsuに,BPFの具体的な活動内容と特色について報告をしてもらうとともに,本研究ぷるじぇくとメンバーである本田彩兵庫大学講師に渡米してもらい,日本における地域社会と寺院活動との具体的なかかわりについて紹介をしてもらった。また,Institute of Buddhist StudiesのScott Mitchell准教授が,アメリカのエンゲージド・ブッディズムの歴史と現在について概説した。
 研究会では,まずBARCを代表して嵩満也が,BARCのプロジェクトの概要と,本研究会の目的について説明し,Scott Mitchell准教授がアメリカ仏教における社会活動の過去と現在について紹介した。アメリカのエンゲージド・ブッディズムの活動は,60年代後半からの反戦・平和運動に淵源を持つと言えるが,現在のようにそれがエンゲージド・ブッディズムという言葉で括られるようになるのは,90年代以降である。現在では環境問題や貧困問題への取り組み,死刑反対運動などさまざまな活動の展開が見られ,アメリカ仏教の大きな特色をなしている。引き続き,Dr. Funie HsuがBPFの活動について紹介した。BPFは,歴史的にベトナム戦争に対する反戦・平和運動の活動と密接な関係を持ち78年に発足した。政治的・社会的な活動に加え,Turning Wheelという雑誌を定期的に刊行し,仏教の教えに根差した運動をとしての啓蒙を続けている。近年は,地域コミュニティでのさまざまな活動と連帯した活動を行っている。また,インターネットを使った発信を積極的に行っている。本多彩先生は,日本の仏教寺院と地域との関係に触れ,歴史的に寺院が地域社会で果たしてきた社会的・文化的な関係に日本仏教の社会参加の特質がることを指摘した。
 質疑応答では,いろいろな質問・意見が出された。BPFの活動については社会的な活動だけでなく,ホスピスなどにおける精神的な仏教の個人に対する組織的支援の必要性が指摘された。また,アメリカ仏教におけるエンゲージド・ブッディズムが政治的・社会的活動を中心に行っているのに対して,日本仏教が文化的な側面を活用した活動を行っていることについて大きな関心が寄せられた。一方で,それぞれの活動とその精神的支柱となる仏教思想との関係に対する質問もあり,発表者とフロアーを交え活発な意見交換が行われた。


【総括と展望】
 今回の研究会は海外での開催となったが,日本とは全く異なる歴史的・社会的・文化的脈絡の中で成長している仏教の姿を学ぶことができただけでなく,その脈絡の中に日本仏教の歴史と現状を置くことにより,その課題だけでなくポテンシャリティについて再認識することができた。BPFの活動を通して学べる課題としては,仏教の存在が社会的に大きな意味を持つものとして受け入れられていることである。日本仏教にとっては,古くして新しい問題ともいえるが,仏教が新しい価値を提供するものとして社会に認識され,仏教者もそのような発信をしている。諸刃の側面もあるが,絶えず社会に対して発信していこうとする姿勢は,現在のアメリカ仏教のダイナミズムの原動力となっている。一方,日本仏教のポテンシャリティとして再認識されたのは,日本社会の中で長年にわたり果たしてきた仏教寺院の地域コミュニティでの役割である。エンゲージド・ブッディズムは,兎角政治的・社会的運動として捉えられがちであるが,日常生活と結びついた日本仏教の活動は,アメリカ仏教からみるとかえって新鮮に見えるようであった。その意味で,今後政治的・社会的側面に加え,エンゲージド・ブッディズムの歴史的・文化的側面について考察を深めることが必要であろう。

【文責】アジア仏教文化研究センター

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