研究活動

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2016年度 グループ1ユニットB 第3回研究会

報告題目『THE BIJOU OF ASIA(亜細亜之宝珠)』研究会(第3回)
開催日時2016年7月25日(月)16:00~18:00
場所龍谷大学大宮学舎南黌102教室
参加者12人

【議論の概要】

 今回の研究会ではまず,中西直樹氏が提示した「A Brief account of Shinshiu」(二葉憲香監修『赤松連城資料』本願寺出版部,1984年)について議論が行われた。

 同著は,赤松連城が英国議員の「リード氏」の要請により作成し,1886(明治19)年に4頁の小冊子として刊行した真宗教義の概要の英訳であり,おそらくは真宗教義の英訳を試みた日本初の事例と思われる。赤松が海外宣教会の初代会長を務めていたこともあり,同著は『The Bijou of Asia』の歴史的意義について検討する本研究会にとっても,重要な資料となりうるものである。

 同著では,「karma」のような仏教の専門用語はほとんど使用されていないが,「Paradise」や「passion」などキリスト教系の用語が随所で使われている。ただし,仏教を西洋社会に説明する際にしばしば持ち出される,キリスト教との比較は行われていない。タイトルには英語圏では意味不明のはずの「Shinshiu」と書かれてあり,同著が果たしてどういった立場の読者を想定して執筆・翻訳されていたのか,不明瞭なところがある。

 他方,赤松はオルコットのBuddhist Catechismの日本語訳(『仏教問答』)の出版(1886年)を進めた人物でもあり,人脈的・時期的に重なる両著には,何らかの関係がある可能性が高い。さかのぼって赤松にBuddhist Catechismの翻訳を依頼したのは,水谷涼然という人物であり,この人物の来歴と活動については,『仏教問答』そして「A Brief account of Shinshiu」の翻訳・刊行の背景ともあわせて今後,明らかにしていく必要がある。

 研究会では続いて,中西直樹,吉永進一『仏教国際ネットワークの源流―海外宣教会(1888~1893年)の光と影』(三人社,2015年)の第一章「海外宣教会とその時代」(中西直樹著)の概要が碧海寿広氏によって報告され,それに基づき議論が行われた。

 特に,海外宣教会の衰退の原因についての考察が深められた。国際交流と超宗派を志した同会は,日本の仏教界において国粋主義の風潮が強まり,また各教団が宗派主義に傾くなか存在意義を失っていったとされる。それに加えて,同会の設立に強い影響を及ぼしたオルコットに対して,日本の仏教界が次第に失望していったこと,さらには本願寺派内での改革派と保守派の対立の展開なども,同会が衰退した背景として大きかったことが指摘された。

以上

【文責】アジア仏教文化研究センター

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