研究活動

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2016年度 グループ2ユニットA 第2回ワークショップ

報告題目仏教者による社会貢献活動の実態と意義 -国内外における人道支援を通して-
開催日時2016年12月16日(金)13:00~16:00
場所龍谷大学大宮学舎西黌2階大会議室
ファシリテーター野呂 靖(龍谷大学文学部講師)
コメンテーター中村尚司(特定非営利活動法人JIPPO 専務理事)
参加者32名

■報告者・報告題目:

定光大燈(Dāna International Center事務局、浄土真宗本願寺派西楽寺前住職)

「ネパール在住のチベット難民の現状とその問題-DICの支援活動を通して見えてきたこと-」

雨森慶為(真宗大谷派解放運動推進本部 本部委員)

「野宿生活者との交流」

■協力:特定非営利活動法人JIPPO、Dāna International Center、真宗大谷派解放運動推進本部

【報告のポイント】

 東西本願寺の教団に関わる諸団体における社会貢献活動のなか、国内外における人道支援の実態について報告が行われ、その意義を参加者全員で改めて確認した。また、諸団体の情報交換も行われ、活発に意見が交わされた。

【報告の概要】

定光大燈(Dāna International Center事務局、浄土真宗本願寺派西楽寺前住職)

「ネパール在住のチベット難民の現状とその問題-DICの支援活動を通して見えてきたこと-」

 中国の圧政から逃れるため、主にインドやネパールなどに亡命したチベット難民は、今もなお窮屈な生活を余儀なくされている。ネパール政府はチベット難民へRefugee Cardという身分証明書を発行していたが現在は廃止しており、更新も困難なために労働許可や運転免許も失うこととなる。社会生活に大きな支障をきたし、自由度が制限されるなか、その影響は次第に子どもたちの学校教育にも及ぶこととなった。

 Tibetan Refugee Welfare Office(チベット亡命政府の非公式なカトマンズ事務所)は、改善を求めるメモランダムをネパール政府に提出した。それを踏まえ、ネパールの3つの学校の高学年の学生約20人を対象とし、その後の改善に関するアンケート調査を実施し、結果を分析すると「二重亡命の危機」と今の状況を表現することができる。それは成績が良くても進学をあきらめる子どもも増え、チベットからネパールに亡命してきたにもかかわらず、将来ネパールを離れることを考えている子どももいるからである。やはり、この背景には中国政府の影響力がネパールにおいて強くなっているということが考えられ、現状の改善は非常に困難である。

 しかし、このような状況の中においても、日本をはじめとする様々なところからの支援が、自分たちや子どもたちにとって非常に大きな力になっていると、調査先の学校の校長先生は話している。

雨森慶為(真宗大谷派解放運動推進本部 本部委員)

「野宿生活者との交流」

 真宗大谷派では1995年から継続して年に1回もちつき大会を開催し、野宿生活者、学生、キリスト教のシスター等、宗門の内外を問わず多くの参加者がある。このような炊き出しを行うと、大抵は作る人と食べる人とはっきり分断されてしまうが、このもちつき大会は参加者全員で準備から片付けまで行うことを趣旨としている。このような野宿生活者支援の取り組みは、個人の救いを最優先として同和問題や靖国問題等を扱う暇はないという真宗大谷派の僧侶の発言に向けられた1989年の糾弾に端を発する。また、当時は東本願寺境内の総合案内所において休憩する多くの野宿生活者を排除していたこともあり、そのことに対する反省や、京都よまわりの会という野宿者支援団体の提案等もあり、様々な社会活動が始まった。

 具体的には傾聴活動や衣料支援等があり、他の支援団体とも協力して亡くなった方を偲ぶ会を三条カトリック教会において合同で行っている。また、2002年にホームレス自立支援法が施行され、それに伴い京都自立支援バックアップセンターというNPO法人を設立し、債務整理、生活保護、就職等について弁護士が相談に応じている。さらには、生活保護を受給してアパートに住む方に対して居宅支援も進めている。様々な支援団体と連携しながら、野宿生活者の社会復帰に向けた活動を今後も継続していく。

【議論の概要】

 JIPPO専務理事の中村尚司氏は定光氏の報告を受け、ネパールが国際的な力に翻弄され、チベット難民がおかれている状況に絶望を感じながらも、近年のインド仏教や中国仏教の復興を通し、両者の間で問題の解決への糸口が見つかるのではないかと期待をふくらませた。また、雨森氏の報告を受け、東西本願寺は同じ親鸞聖人の教えを受け継ぐ教団でありながら、両者の交流が乏しい現状を憂慮し、可能な限り相互に交流を深め、様々な分野のNPO・NGO団体との連携をより強化し、人と人とのつながりを大切にしながら、今後も支援活動を継続していく必要があるとコメントした。

 参加者のなかより、教団関係者によって運営される諸団体を把握し、情報共有の場を設け、目的意識の統一をはかっていくことや、今後の人材の育成についても提案が出された。

【文責】アジア仏教文化研究センター

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