公募研究

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日本における『因明入正理論』の古写本について―因明論義展開の起点―

本研究では、東アジアにおける仏教論理学展開の一端を明らかにするために根本典籍である玄奘訳・商羯羅主造『因明入正理論』に関わる調査・研究である。実質的に中国へ因明をもたらすことになった玄奘訳『入論』・『理門論』〔陳那〕のうち、前者は「因明入門」として「能立」における〈宗〉〈因〉〈喩〉の三支作法(論証式)を中心として、「能立」・「似能立」・「現量」・「比量」・「似現量」・「似比量」・「能破」・「似能破」の都合八門の体系的構成で、因明を学ぶ上で恰好の典籍となっている。このこともあり中国の唯識学派や日本の法相宗等では肯定的否定的を問わず註釈書・複註書等が多く著されている。殊に日本では奈良時代から江戸時代に到るまで『入論』及び基の『因明大疏』を基軸とした展開が図られている。しかし、論証式をめぐっての漢訳等の問題点は案外知られていない。『高麗大蔵経』とそれ以外の『大蔵経』とでは異なっている状況を鑑み、日本における古写本等々の検討を通して日本伝来初期の『入論』等の受容とその解釈を明らかにしていきたい。

後藤康夫(龍谷大学仏教文化研究所客員研究員)

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