公募研究

公募研究

現代のネパールにおける仏教教団の構成と社会的役割

十三世紀初頭に滅びたインド仏教はカトマンドゥ盆地に点在するバハー,バヒー(仏教寺院)において伝承され,ネワール人の文化の影響の下で独自の発展を遂げてきた。これは本研究で取り上げるネパールを代表するネパール仏教であり,ネワール仏教とも称する。この仏教においては現代,僧侶と施主共に世襲制であり,それは14世紀に登場したジャヤスティティ・マッラ王の社会・経済改革が転機となり,僧侶・施主の身分制度あるいは階級が定着したのである。
本研究ではネパール仏教の教団の変動を踏まえながら,その現状を考察する。これが政治・宗教的な種々の弾圧に耐えて今日まで継承されている背景には「サンガ」(saṃgha)及び「グティ」(guthi)の組織力が大きい。中でも「サンガ」とは仏・法・僧の中でいわゆる僧団に相当し,寺院の管理・保存などを行う組織である。さらに,「グティ」は日本の「講」に相当し、寺院や集落ごとに複数存在し、葬式などの通過儀礼をはじめ寺院の運営・維持といった種々の目的を達成するために形成されている。いずれもネパール仏教徒の団結を示すものであり,同時に社会的支持層であり,財政の基盤でもあるといえる。そこで、ネパールにおける仏教寺院の現地調査と共に,梵語・ネワール語混成資料を駆使し、それらの組織が社会的秩序を乱すことなくどのような役割を果たして今日に至っているのかを明らかにする。

スダン・シャキャ(種智院大学准教授)

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