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    「アジア仏教の諸相(アジアの仏教と文化)」(第1回)

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2014年度 BARCオムニバス講義
「アジア仏教の諸相(アジアの仏教と文化)」(第1回)

報告題目インドの仏教と文化:仏教僧の食生活
開催日時2014年4月24日(木)10:45~12:15
場所龍谷大学深草学舎22号館103教室
報告者井上綾瀬(龍谷大学仏教文化研究所客員研究員)
コメンテーター桂 紹隆(龍谷大学文学部教授,BARCセンター長)
参加者107人
【報告のポイント】
 初期仏教において,出家修行者たちがどのような規律の下で具体的に何を食べ,また,病気になった際に彼らにどのような薬が処方されていたのかが紹介された。
 
【報告の概要】
 出家修行者である比丘(20歳以上の男子)は,乞食に頼る不安定な生活を実践し,その中で,正午以降の食事の禁止,十種肉(ヒト,ゾウ,ウマ,ヘビなど)の禁止,三種肉の禁止などのルールを持っていた。また,乞食により料理を入手するという方法をとるため,在家者と同じものを食べていたことが知られている。さらに,古代インドの時代から各種のスパイスが存在しており,また黒砂糖や塩の存在が確認されることから,現代インドと大差のない食事をとっていたことが想像される。
 
 当時の食事風景は美術作品を通じて伺い知ることができ,アジャンターの壁画に描かれたジャータカの場面や生死輪廻図,またバールフットのウッタラクルの楽園の描写には,比丘の生活用品である鉢や当時のインドの厨房の様子,調理道具が示されており,また,シルカップから出土しているワインカップなどの食器類も残存している。
 
 最後に,律に記されている食事に関する実に細々としたルールが紹介され,基本の乞食の他にも「およばれ」で食事をとることができるというルールや,病気の際には食事を寺院まで運んでもらえるという規則が存在したことが示された。また,随犯随制の性格から,初犯者には罪が発生しないことなども紹介された。現在,タイにおいて行われている波羅提木叉の読誦を実際に聞き,随犯随制により増加するルールに対応するため,月2回の布薩において律蔵のルールが確認されるという伝統が今にも生きていることが確認された。
 
【議論の概要】
 桂紹隆氏は,重罪である「波羅夷」はどのような場合にも投票によって決定されるのか,あるいは特定の場合にのみ行われたのかという質問を行った。井上氏は,罪を犯した本人が「波羅夷を犯した」と認めれば投票は行われないが,本人が認めない場合は「不定」とされることが多く,その際,布薩において皆の前で罪の告白を行い,それが波羅夷に相当するかどうか多数決によって決定したと答えた。
 
 フロアからは,仏教徒の食事というとスジャーターの乳がゆが思い浮かぶが,どうして仏教では乳がゆを重要な食事として尊重しなかったのかという質問がなされた。井上氏は,仏教教団内で粥が多用されていたことは律蔵でも確認できるが,特に乳がゆが重視されていた様子はなく,この点に関しては今後の課題としたいと答えた。
 
【文責】龍谷大学アジア仏教文化研究センター
 
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