公募研究

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大衆のヴィパッサナーから聖者の禅定へ:日本におけるミャンマーのパオ仏教瞑想法の意義

今日、宗教色を除いたマインドフルネスがビジネスや医療の現場で活用されている。19世紀ミャンマーにおいて、今日実践されるマインドフルネスの由来であるヴィパッサナー瞑想が大衆化した一方で、集中力を修習するための禅定(jhāna)瞑想は軽視されていった。本研究では、現代ミャンマーにおける禅定復興運動ともいえる、パオ・サヤドー(1934~)による瞑想法を、日本において実践する者達に注目する。世界的人気のヴィパッサナー瞑想より難度が高いにも関わらず、あえて禅定を実践する日本人の動機には、実用的効果よりも、難しいゆえの禅定に対する憧憬や、戒律を遵守するパオ瞑想院の比丘達の禁欲的態度に対する畏敬といった「聖(者)性」への価値が見られる。本研究では、パオ瞑想を実践する日本人に聴き取り調査するとともに、『アビダンマ』や『清浄道論』等の関連文献と、ミャンマーの瞑想文化の基盤を築いた高僧レディ・サヤドー(1846~1923)による著書も併せて精査する。聖(者)性が人々を惹きつける現象の解明は、数値化・可視化されづらいものであっても、各社会で生きる人々の宗教性・精神性を理解するための重要な要素となる。

川本佳苗(東南アジア地域研究研究所 連携研究員)

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